サムさん
サムさんは、真っ赤な傘をさして、ステージに立った。
(なんて、かわいらしい!)
サムさんは、とても楽しそうに歌をうたって、おしゃべりして
最後の方は涙ぐみながら歌ったりした。
こんなにかわいい人を見たことがない!
音楽を志す人には、2つの種類があると思う。
ひとつは、museに愛されている人。
そしてもうひとつは、museに愛されようとしている人。
museに愛されている人は、すごい。そして、数少ない。
だけど、museに愛されようと必死な人も、私は嫌いじゃない。
サムさんは、後者だ。それは悪いことじゃない。
もっともっと愛されるために、歌っていてほしい。
でも次に聞くことがあるならば、私はサムさんの声だけを聞いてみたい。
もっと、裸の、もっと装飾のないもの。
もっと本質的なもの。