理不尽

先日、『鬼が来た』という映画を観ました。
2000年にカンヌ国際映画祭グランプリをとった中国の映画です。

舞台は、日本占領下の中国。
途中までは、かなり笑えるシーンが多くて、
「ユーモラスだなぁ」なんて調子こいておりました。
ところが、最後は、もう理不尽きわまりない。
唖然としてしまうのです。
この晴れたかと思ったら急に曇って、どしゃ降りの雨が降り出して
肺炎になって死んだみたいな理不尽さ、
これが戦争という現実なのだと思いました。
理屈や理論など通用しません。全部、たわごとになってしまう。
状況が一転すれば、すべて変わります。
昨日の友は、今日の敵。
昨日の善人は、今日の悪人です。

この映画に好感をもてたのは、とにかく泣かせないところ。
お涙ちょうだいなんてもってのほか。
逆にユーモラスでちょっと笑ってしまうような演出に
監督の意図とリアリティを感じました。
そして、とても恐ろしくなってしまいました。

間違っていることを間違っていると言え、
正しい方向にもっていこうとできる社会は
素晴らしいです。
でも、今がそうかどうかはわかりません。
とても脆く、危うい世の中なのです。
人の価値観は、あまりにも簡単に変わってしまいますからね。