「強いやさしさ」

suneon2005-05-25

カエターノ・ヴェローゾ
今日、東京国際フォーラムであった彼のライブに行ってきました。
カエターノは、ブラジルの有名な大御所ミュージシャンです。御歳63歳。

これはあくまで個人的な意見ですが、彼は血で歌う数少ない音楽家だと思います。
彼の歌声を聞くと、彼の血のエネルギーを感じずにはいられません。
そして、その中にいろんな感情が脈打ってるのが伝わってくる。

ひと足先に大阪公演を見た、友人のミーゴレンは、ライブの感想を

イメージとして、「強いやさしさ」って、曇りのない感じ、
あたしの中ではカエタノの声に、歌に、通じてしまった。
人間の「素」のような部分で憧れる。
迷いや見栄や強がり、いろんな気持がいりまじる日々、
「おまえの思う道を行きなさい、ひとが間違ってると言ったとしても」
と言われてるような気がする。
と表現していました。
私も今日のライブを観て、全くそう思いました。
彼はとても強いやさしさを持っていて、なぜだかそれが分かるから
涙が出たりしました。
でも彼は私が想像していたような人ではありませんでした。
ストイックで神経質で、繊細で…そんなイメージがあったのだけど
彼は驚くほどフラットでナチュラルな人でした。
ライブ中、何度も「この人はいいことだけを見て生きてきた人ぢゃないんだなー」と
思いました。いいことも悪いことも、欲も名誉もお金も、歌も魂も才能も、全部、大きな器の中にほうり込んで、洒落た帽子でふたをした感じ。私の中の雑念や欲や焦燥感やいろんなものまで「そのままでいいのだ」と受け入れてくれた気がした。
そんなライブってある?
そんな音楽ってある?
その存在の大きさと、培ってきた情熱に惹かれて止まない夜でした。